声が聞きたかった

昨日のセッションで、初めての人が来ていた。
表情がとぼしく、無口な人だった。
みんなで雑談しているときも、ほぼ無表情で、
まったくしゃべらなかった。
彼の無表情と無口が、かえって存在感を増しているように思った。

私は気になってしかたがなかった。
初めての場所で、すでにできあがっている常連の輪に入れない、
居心地のわるさは、私は何度も経験している。
楽しいでほしい、私は心の中で願った。

私から話しかければよかったけれど、私の席から少し遠くにいたし、
常連の話が盛り上がって、私にも話を振られていたから、
話をさえぎって彼に声をかけるタイミングを逸してしまった。
結局、最後まで彼は無口で、軽く一礼して帰ってしまった。

彼に話かければよかった。
声が聞きたかった。